2025/07/03 16:06

◎多機能のiPS肝細胞を開発 世界初、肝硬変治療の応用も

 人の肝臓が持つ多層的な機能を、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で世界で初めて再現したとの研究成果を、大阪大研究チームが3日までに英科学誌ネイチャーに発表した。開発した肝細胞は人工透析のように体外で肝機能を補助する医療機器「バイオ人工肝臓」に活用できると期待され、チームは「2〜3年後の臨床応用を目指したい」としている。
 肝細胞は一つの細胞の中に三つのゾーンがあり、場所によって役割が違う。あるゾーンでは主に糖を作って脂肪を分解する一方、反対のゾーンは逆に糖が分解されて脂肪が蓄えられるという複雑な仕組みになっている。肝硬変など重度の肝不全になるとこうしたゾーンごとの機能が低下する。
 チームは、それぞれのゾーンが、特定物質の濃度に反応して作られることに着目。ビタミンCの一種と、ビリルビンという色素の濃度を人工的に変える方法を開発し再現した。
 ビタミンCを作り出す遺伝子を組み込んだiPS細胞と、通常のiPS細胞を用意。通常の細胞にはビリルビンを投与、肝細胞に分化させたところ、それぞれのゾーンへと変化した。

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